BACK




 

@行き給ふ…〜し給ふ(動詞+給ふ)は、尊敬の補助動詞で、「〜しなさる」と訳せます。

Aあひぬは完了の助動詞です。「した」と訳せます。

Bいらへ給ふいらふ(答ふ)は「答える」と訳せます。

Cなりけり
なりけりは詠嘆を表し、「〜だなあ」と訳せます。

ワンポイントレッスン

<現代語訳>

昔々、中国で、孔子が道を歩いていらっしゃると、8歳ほどの子供に出くわしました。
孔子に「太陽が沈む場所と洛陽とでは、どちらが遠いのですか」と質問したところ、
孔子は「太陽が沈む場所は遠く、洛陽の方が近い。」とお答えなさりました。
するとその子供は、「太陽が昇る場所は目で見えますが、洛陽は見えません。だから
太陽が昇る場所が近く、洛陽の方が遠いと思います。」と申し上げたので、孔子は、
賢い子供だとお感じになりました。
「孔子対して、このように質問する人さへもいないのに、このように質問するとは、
ただ者ではないぞ。」と人々は言いました。

今は昔、唐(もろこし)に、孔子道を行き給ふに、八つばかりなる童あひぬ。

孔子に問ひ申すやう、「日の入る所と洛陽(らくよう)と、いづれか遠き。」と。

孔子いらへ給ふやう、「日の入る所は遠し。洛陽は近し。」童の申すやう、

「日の出()で入る所は見ゆ。洛陽はまだ見ず。されば日の出づる所は近し。

洛陽は遠しと思ふ。」 と申しければ、孔子、かしこき童なりと感じ給ひける。

「孔子にはかく物問ひかくる人もなきに、かく問ひけるは、ただ者には
あらぬなりけり。」

とぞ人いひける。
出典「宇治拾遺物語」